増加する後継者不在の医療機関とM&A

高齢化社会と医療機関の倒産危機

日本の高齢化は深刻な問題です。平成27年には団塊の世代が65歳以上となり、その数は3,379万人に達しました。 さらに、令和7年には団塊の世代全員が高齢者となり、令和25年には高齢者数がピークを迎えると予測されています。 高齢者の割合も増加の一途をたどり、令和19年には国民の3人に1人が高齢者になると予測されています。

この高齢化は、医療業界にも大きな影響を与えています。 医師の平均年齢も上昇しており、若手医師の育成が急務となっています。 一方で、高齢化に伴い老々介護や老々医療の需要が増え、医療現場の負担は増大しています。

帝国データバンクの最新調査によると、2023年の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産件数は41件と、2年連続で40件を超えました。 負債総額も253億7,200万円と、過去10年で最大規模に。 特に診療所の倒産が目立ち、高齢化や健康問題に加え、経営難に直面する医療機関が増えている現状が浮き彫りになっています。

後継者不在問題の深刻化と2つの要因

医療機関の倒産増加の背景には、後継者不足という深刻な問題があります。 その要因としては、主に以下の2点が挙げられます。

  1. 後継者候補が病院勤務を希望: 医院やクリニックの増加、自然災害や感染症などのリスクへの不安から、安定した病院勤務を望む医師が増加しています。 結果として、後継者候補となる医師が地元に戻らず、都市部の病院に集中する傾向が見られます。

  2. 後継者候補に継がせたくない開業医が増加: 診療報酬の改定や競合クリニックの増加により、開業医の収益が減少しています。 この厳しい経営環境下で、開業医は身内に後継者を引き継がせるよりも、 第三者への事業承継を選択するケースが増えています。

第三者承継:地域医療を守り、資産を築く

後継者不足を解消し、地域医療を継続させるための有効な手段として、第三者承継という選択肢があります。 第三者承継には、以下の2つの大きなメリットがあります。

  1. 地域医療の継続: 後継者が見つからない場合でも、クリニックを閉鎖することなく、 地域医療を継続することができます。 特に、医療機関が少ない地域では、その重要性はさらに高まります。

  2. 資産の構築: クリニックを閉鎖する場合、清算にコストがかかりますが、 第三者承継では、対象法人の資産状況に応じて創業者利益を得られる可能性があります。 特に医療法人の場合は、新法か旧法かによって異なりますが、 適切な手続きを行うことで、資産価値を最大限に活かすことができます。

第三者承継の2つの選択肢

第三者承継には、大きく分けて2つの方法があります。

  1. 個人の開業希望医師に承継する: 病院勤務を希望する医師が増える一方で、個人で開業を希望する医師も一定数存在します。 標榜科目や立地が合致すれば、意欲の高い若手医師に承継することで、 地域医療の活性化につながる可能性があります。

  2. 医療法人に承継する: 地域の医療法人による承継も選択肢の一つです。 特に同一医療圏内の医療法人は、承継に積極的なケースが多く、 スムーズに話が進む傾向があります。 ただし、承継先の医療法人内で医師の採用が可能かどうかが、 承継を成功させるための重要なポイントとなります。

専門家によるサポートで安心の事業承継を

事業承継は、複雑な手続きや専門知識が必要となるため、 専門家によるサポートを受けることが重要です。 私たちは、経験豊富なチームと幅広いネットワークを活用し、 あなたのクリニックの状況やご希望に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

まとめ

高齢化社会における医療機関の経営は、後継者不足という大きな課題に直面しています。 しかし、第三者承継という選択肢を検討し、専門家のサポートを受けることで、 地域医療の継続とあなたの大切な資産を守ることができます。

事業承継についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。 私たちが、あなたの未来をサポートいたします。